プロフィール

 猪俣さんは、15歳の時に高田の木工補導所(職業訓練校)に入り、建具職人の道を歩みだした。「鉄工所を営んでいた父親から旋盤を覚えるように言われ、直江津金工補導所も受けましたがこちらは落ちてしまった。それで木工に行くことになりました」と当時を思い出し苦笑い。卒業後は東本町のたんす店で3年半修業を積み、手伝い職人として建具業者を転々とした。30歳で結婚。これを契機に店を持ち、一般建具の仕事に没頭した。
 組子の繊細な技術に魅せられたのは、独立から10年が経ち、猪俣建具店も軌道に乗っていた頃だった。展示会で全国トップレベルの技術を目の当たりにし、大きな衝撃を受けた。以来、組子技術の全国大会出品のため、建具の仕事は従業員に任せ、半年間を組子障子の制作に打ち込んだ。作品は昭和51年の宮崎大会、次いで長野、東京、島根と4大会に出品し、すべて入賞の栄誉に輝いた。

産業分類 生活密着型技術
認定年度(平成) 平成9年
マイスターの分野 組子障子
氏名 猪俣 精一
ふりがな いのまた せいいち
性別
生年月日 昭和11年8月5日
住所 上越市高土町3丁目

作品

猪俣さんの作品の一部をご紹介します。

■書院障子

40代の時に製作し労働経済局長賞に輝いた書院障子。
細工物の組子障子を仕上げるには熟練の技が必要とされ、猪俣さんは、日本でトップクラスの技術を持っている。
■行灯

行灯にも組子を施す。
組子は、釘を使わずに木を組み付ける繊細な技術。
■見学用につくった組子

小学生の見学用につくった組子。
■組子の椅子

長男の一博さんが製作した組子の椅子。
技術を受け継いだ長男の一博さんは、組子をインテリアとし、デザイン的に広めていきたいと、東京で店舗の一部を借り組子の製品を展示したり、インターネットで注文を受けたりしている。
財団法人 自治総合センター