HOME > 渡部 正秀
プロフィール
周囲から、手に職を持ったほうが良いと言われ、高等小学校卒業(昭和11年4月)と同時に塗装店へ弟子入りした。南太平洋で戦火をくぐり、同21年に復員。翌年に再び職人の道を志し、塗装工として事業所に入った。職場では実力が認められ、職長の役割を担い、同38年に出場した県の技能大会で見事優勝を果たした。
独立したのは44歳の時で、その3年後に渡部塗装店を設立した。「下手な仕事はできない」と採算を度外視し、常に最善の仕事を心がけた。その結果、大きな信頼を得て、口コミで評判が広がった。
今は現役を退き塗装の技術と塗装店は長男の幹夫さんに引き継がれている。
産業分類 | 生活密着型技術 |
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認定年度(平成) | 平成10年 |
マイスターの分野 | 建築・内装塗装 |
氏名 | 渡部 正秀 |
ふりがな | わたなべ まさひで |
性別 | 男 |
生年月日 | 大正11年3月16日 |
住所 | 上越市南本町2丁目 |
渡部さんの仕事
塗装の仕事は、お客が要求した色を出す「色合わせ」が最初の手順。使用量や比率を見切り、塗料の原色を混ぜ合わせる。微妙な部分は勘と経験を生かし、いたずらに手間をかけるのではなく、いかに早く希望の色にするかが最も苦労するところだという。次に、これで仕事のすべてが決まるという「着色」。塗る対象によって質感や乾燥の度合いが違い、ムラとの戦いになり、職人の腕が試される重要な工程だ。
最後は光沢やツヤを出すための「仕上げ塗り」。ムラにならないように素早く正確な刷毛(はけ)さばきで塗料を塗りこみ、厚みをつけながら徐々に理想の色に近づけていく。今は主流となっている吹き付けでは対応できないところもあり、刷毛の重要性は変わらないという。
渡部さんは「少々犠牲をはらっても仕事はしっかりやろうと思いました。ありがたいことに仕事は人様が持ってきてくれました」と、仕事に明け暮れたころを懐かしむ。